TOPへ

ブログ

SNS誹謗中傷で心が疲れたときの守り方

「SNSを開くたびに、誰かを攻撃する言葉が流れてきて気持ちが沈む…」
「見なければいいのに、気になって何度も確認してしまう…」そんな声をよく聞きます。こうした状態は、いわゆる「SNS疲れ」として語られることもあります。
今週も、大きなスポーツイベントをきっかけに、SNS上の誹謗中傷への対応が報じられました。
この記事では、SNSで心が削れたときの反応を整理し、今日からできる守り方と相談の目安をまとめます。
※この記事は一般的な情報提供であり、個別の診断や治療の指示を行うものではありません。

 

■ まず整理:混同されやすいポイント

  • 「批判」と「誹謗中傷」(意見への指摘 vs 人格攻撃)は別ものです。

  • 「不安」と「危険」(不安=脳の警報、危険=いま目の前の差し迫ったリスク)は一致しないことがあります。

  • ミュート/ブロック/距離を置くことは「逃げ」ではなく(刺激を減らすセルフケア)です。

  •  

■ 今週の出来事と心の不調がつながる“よくある道筋”
①出来事(ストレッサー)
 強い言葉の投稿、炎上、晒し、コメント欄の攻撃などが目に入る
②頭の中の反応(考え)
 「自分もいつか標的になるかも」「世の中が怖い」「黙っていたら負ける」などが浮かぶ
③体の反応(自律神経/睡眠)
 動悸、息苦しさ、胃の違和感、肩こり、寝つけない・途中で目が覚める
④行動(回避/過集中)
 延々とスクロール、検索が止まらない、反論したくなる、仕事や家事が後回しになる

こうした反応自体は、脳が「社会的な危険」を察知して身を守ろうとする自然な働きです。
ただ、刺激が続くと回復の時間が取れず、疲れやすさや落ち込みにつながることがあります。

 

■ こんなサインが出たら“整え直し”のタイミング

  • 寝つきが悪い/夜中や早朝に目が覚める

  • 仕事・家事・勉強の集中が落ちた

  • 些細なことでイライラが続く、涙もろい

  • SNSを見た後に動悸・息苦しさ・胃腸の不調が出る

  • 「確認しないと落ち着かない」感じが強い

  • カフェインや甘い物、飲酒に頼る頻度が増えた

  • これらが数日〜1週間以上続き、休んでも戻りにくい

 

■ 今日からできる工夫(揉めにくい・続けやすい)3つ

  1. 情報の「入口」を細くする
    まずは「入口」を絞ります。通知をオフにし、SNSを開く時間帯を決めましょう(例:昼と夜に各10分)。寝る前1時間は見ない、コメント欄は開かないなど“ルールを少なく固定”すると揉めにくいです。重要な情報は公式サイトやニュースアプリで確認し、SNSは娯楽として切り分けるのも有効。フォローを整理し、キーワードミュートも活用。『見る前に目的を一言で決める』だけでも、だらだら閲覧(doomscroll)を減らしやすくなります。

  2. 「頭の反応」をメモでほどく
    次に「頭の中」を見える化します。SNSで傷ついたときは、事実より“解釈”が膨らみやすいもの。メモに①見た内容(事実)②浮かんだ言葉(例:自分も攻撃される)③体の反応(動悸・胃の不快感)④今できる小さな一手(深呼吸→離席)を書くだけで、脳の警報が少し落ち着きやすくなります。『これは“今の気分”であって“事実”ではない』という一文を添えるのも有効。反論や検索の前に“10分待つ”ルールで衝動をやり過ごしましょう。

  3. 「体」からスイッチを戻し、ひとりにしない
    最後は「体」から戻します。SNSのストレスは、体には“危険”として入ることがあります。温かい飲み物、肩首のストレッチ、5〜10分の散歩、入浴などで交感神経の高ぶりを下げましょう。夜は照明を少し落として、寝室にスマホを持ち込まないだけでも睡眠が守られやすいです。ひとりで抱え込まない工夫も大切。家族や友人には、まず『つらかったね』と共感してもらい、次に『今日はどこまで見る?』と一緒に線引きを決めると続きやすくなります。

 

■ よくある誤解:頑張り不足ではありません
SNSで傷つくのは、あなたが弱いからではありません。
強い刺激に反応するのは自然なことですし、回復には波があります。
「また見てしまった」と責めるより、次にどう守るかに意識を戻せれば十分です。

 

■ 相談の目安(放置しないほうがいいサイン)

  • 不眠や不安が2週間以上続き、日中の生活に支障が出ている

  • 動悸・息苦しさ・パニック様の症状が増えてきた

  • 気分の落ち込みが強く、楽しめる時間がほとんどない

  • 食欲低下や過食、飲酒などで“しのぐ”頻度が増えた

  • 仕事・学校・家事を休むことが増え、戻り方が分からない

  • 過去のつらい体験がよみがえる、寝ると悪夢が続く

  • 身近な人との関係が悪化し、孤立感が強い

  • 『消えてしまいたい』などの気持ちが強い/自分を傷つけたい考えが浮かぶ

上のようなサインがあるときは、早めに医療機関や公的な相談窓口に相談してかまいません。公的窓口の例として、「こころの健康相談統一ダイヤル」などがあります。
とくに危険を感じるときは、一人にならないようにし、周囲に助けを求め、安全を最優先してください。緊急性が高いと感じる場合は、救急要請も含めて速やかな安全確保を優先してください。

 

■ 受診すると何が変わる?(受診の中身を具体化)
受診では、「何がどれくらい起きているか」を一緒に整理しやすくなります(睡眠、気分、不安、身体症状、生活リズム、ストレス要因など)。
SNSの影響だけでなく、背景にある疲労・うつ・不安・パニック・トラウマ反応などが関係していないかも確認します。
必要に応じて、休養の取り方、考え方の整理(認知行動的な工夫)、環境調整、薬物療法などを組み合わせて提案します。
「誰にも話せない」を「話してよい」に変えるだけでも、負担が軽くなることがあります。

 

■ まとめ

  • SNSの誹謗中傷や炎上に反応するのは自然なストレス反応です

  • 入口(通知・閲覧時間)を絞るだけでも回復しやすくなります

  • メモで“頭の反応”をほどき、体からスイッチを戻すのがコツです

  • 不眠や不安が長引く、生活に支障が出るときは早めに相談して大丈夫です

参考文献(任意)

  • 厚生労働省「まもろうよ こころ(相談窓口案内)」

  • 厚生労働省「こころの耳(働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト)」

  • 法務省「人権相談(インターネット上の誹謗中傷を含む)」

 

FAQ
Q1. SNSを見ないと情報に遅れそうで不安です。
A. 情報をゼロにするより、「信頼できる一次情報だけを1日1回」など取り方を整えるのが現実的です。SNSは時間を決め、通知は切る。重要情報は公式サイトやニュースで確認し、コメント欄は見ない…と役割分担すると不安が増えにくくなります。強い日は休んでOKです。

Q2. ミュートやブロックは逃げですか?
A. ミュートやブロックは「逃げ」ではなく、刺激から距離を取るセルフケアです。ケガをしたら絆創膏を貼るのと同じ。相手を変えるのは難しくても、自分の環境は整えられます。落ち着くまで“安全な範囲”を作ることで、睡眠や仕事を守れます。必要なら一時的にアプリを消すのも選択肢です。

Q3. 家族や友人がSNSで傷ついています。どう声をかけたら?
A. まずは『それはしんどいね』と気持ちを受け止め、すぐに助言で追い込まないのがコツです。次に『今日はどう過ごしたい?』と本人の希望を確認。通知オフや閲覧時間、誰に相談するかなど“次の一手を一緒に決める”と回復につながりやすくなります。責めない姿勢が大切です。

Q4. 受診はどの段階で考えればいいですか?
A. 目安は、眠れない・不安が強い状態が2週間以上続く、仕事や家事に支障が出る、動悸やパニック様症状が増える、飲酒や過食でしのぐことが増える時などです。『消えたい気持ち』が強い、危険だと感じる場合は早めに医療機関や公的窓口へ。つらさを一人で抱えず相談してかまいません。