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寝だめはできる?心療内科医が教える“週末の寝だめ”の効果

1. 論文の吟味:週末のまとめ寝(WCS)は有効?

2025年のPubMed論文(PMID 40518072)は、週末の寝だめ「Weekend- catch‑up sleep(WCS)」が、心血管代謝系の複数の病気(高血圧・糖尿病・心疾患などの複合)に対する予防的効果を示したと報告しています。
WCSが一部のリスク軽減に有効である可能性を支持する結果です pubmed.ncbi.nlm.nih.gov+1pubmed.ncbi.nlm.nih.gov+1

2. しかし、寝だめだけで認知や代謝すべてが回復するわけではない

一方、別の研究(2020年)は、週末寝だめや昼寝で睡眠負債(sleep debt)を完全に補うことはできず、慢性的な短睡眠状態が依然としてリスクになると指摘しています pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
また、マサチューセッツ総合病院の専門家も、週末の過度な寝だめは代謝や体重にも悪影響があると警告しています health.harvard.edu

3. 抑うつリスクとの関係

2025年のメタ解析によると、**適度なWCS(週末の1~2時間の延長)**は、平日の睡眠不足に対する抑うつリスクの軽減に有効ですが、過剰(2時間以上)の寝だめでは逆に悪影響が懸念されるとされます pubmed.ncbi.nlm.nih.gov


✅ 寝だめのメリットと限界

メリット 限界
週末寝だめは心血管・代謝面の負担軽減に効果がある可能性(PMID 40518072) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov+1pubmed.ncbi.nlm.nih.gov+1 完全な補填にはならず、慢性的短睡眠の悪影響は残りうる(2020年)
適度な寝だめ(1〜2時間)は抑うつリスク軽減にもつながる 過度な寝だめは生体リズムを乱し、精神・代謝面で逆効果となる可能性あり

心療内科的アドバイス:健やかな週末の過ごし方

1. 「週末寝だめ」は補助策に過ぎない

平日の睡眠時間をなるべく⏰7時間以上に保つことが最重要。
週末寝だめは睡眠負債の「緊急避難策」として有効でも、日常生活の睡眠習慣が基本です。

2. 適度な延長が鍵:+1〜2時間が限度

抑うつリスク軽減のためにも、週末の寝だめは1〜2時間以内に留めましょう
3時間以上延長すると体内リズムが乱れるおそれがあります。

3. 日常的に睡眠リズムを整える


まとめ

  • 寝だめ(週末WCS)は予防的効果があるが万能ではない

  • 長期的には日常の睡眠習慣の安定化が最重要

  • 週末寝だめは「補助的な習慣」と位置づけ、+1〜2時間以内を目安に

最後に

生活リズムが不安定だったり睡眠の質に悩みがある方は、医療機関での睡眠指導や心療内科的評価をおすすめします。