家族が陰謀論にハマったら考えること ― 支援者(家族)ができること・できないこと ―
「最近、家族の言っていることが極端に感じる」
「話そうとすると、かえって関係が悪くなる」
こうした悩みを抱えて、このページにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
家族が陰謀論的な考えに強く傾いているように見えるとき、
周囲は「どう止めればいいのか」「説得すべきなのか」と戸惑いがちです。
このコラムでは、
陰謀論を否定したり論破したりすることを目的とせず、
支援者として現実的にできる関わり方を整理します。
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■ 陰謀論にハマる背景を、責めずに理解する
陰謀論を信じることは、
知識不足や性格の問題だけで説明できるものではありません。
多くの場合、その背景には
・強い不安
・孤立感
・社会や他者への不信
・「自分はコントロールできていない」という感覚
といった心理状態が重なっています。
世界が不安定に感じられるとき、
単純で一貫した説明は「安心」を与えます。
そのため、
「間違った考えを持っている人」ではなく
「不安定な状態にある人」として捉える視点が重要になります。
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■ 家族・支援者がよく悩むポイント(FAQ)
Q. 間違っていると指摘した方がいいのでしょうか?
基本的にはおすすめしません。
事実やデータを示しても、
「それも操作されている」「あなたも騙されている」と受け取られ、
かえって不信感や対立が強まることが多いためです。
まず優先したいのは、
正しさよりも関係性を保つことです。
Q. 話を合わせた方がいいのでしょうか?
内容に同意する必要はありません。
ただし、
「怖かったんだね」
「それだけ不安が強いんだと思う」
といったように、
感情の部分にだけ共感する関わり方は有効なことがあります。
考えの中身ではなく、
その背景にある気持ちに目を向けます。
Q. 陰謀論の話ばかりで、聞くのがつらいです
無理に聞き続ける必要はありません。
支援者が疲れ切ってしまうと、
結果的に関係は続かなくなります。
・話題を日常生活の話に戻す
・「今日はこの話はここまでにしよう」と区切る
・距離を少し取る
これらは冷たい対応ではなく、
健全な境界線を保つ行為です。
Q. ネットやSNSの情報をやめさせた方がいいですか?
強制的に止めさせることは、
逆効果になることが少なくありません。
禁止されるほど、
同じ考えを持つ人たちの世界に深く入り込んでしまうこともあります。
現実的にできるのは、
・生活リズムを整える
・オフラインでの関わりを保つ
・別の役割や話題を増やす
といった、間接的な支援です。
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■ 支援者ができること・できないこと
支援者にできることは限られています。
・論破しない
・感情に寄り添う
・生活面を気にかける
・関係を完全に切らない
・必要に応じて専門家につなぐ
一方で、
一人で抱え込み続ける必要はありません。
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■ 支援者自身のケアも大切です
家族だからこそ、
怒り・無力感・疲労を感じるのは自然なことです。
支援する側が先に限界を迎えてしまわないことは、
とても重要です。
必要であれば、
支援者自身が相談することも、立派なケアの一つです。
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■ まとめ
家族が陰謀論に傾いているとき、
「正しさ」で引き戻すことは簡単ではありません。
それでも、
関係を保ち、安心できる土台を残すことは、
状況が悪化するのを防ぐ力になります。
焦らず、抱え込みすぎず、
支援者自身も守りながら関わっていきましょう。
※当院では家族相談は行っておりません。