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不眠症に効く運動とは?

~最新の研究でわかった、効果的なエクササイズ~

「なかなか眠れない」「夜中に何度も目が覚める」「寝ても疲れが取れない」——そんな不眠の悩みを抱えていませんか?薬に頼る前に、運動という選択肢を考えてみましょう。

今回は、2023年に発表された論文
『Effects of various exercise interventions in insomnia patients: a systematic review and network meta-analysis』
(不眠症患者に対する様々な運動介入の効果:システマティックレビューおよびネットワークメタ解析)
をもとに、「どの運動が不眠症に最も効果的なのか?」を解説します。

 

〇どんな研究?

この研究は、過去に行われた複数の臨床研究(ランダム化比較試験)を統合し、さらに比較した「ネットワークメタ解析」と呼ばれる方法を用いています。つまり、ただの一研究ではなく、信頼性の高い複数のデータを総合的に評価したものです。

対象は「診断された不眠症の患者さん」。そこに対して、さまざまな運動(有酸素運動、ヨガ、太極拳、レジスタンストレーニングなど)がどのくらい睡眠に効果があるかを比べています。

 

〇最も効果が高かったのは?

論文によれば、**「ヨガ」と「有酸素運動」**が特に高い効果を示しました。

✔ ヨガ(Yoga)

・心身のリラクゼーションを促進
・交感神経を落ち着かせ、入眠を助ける
・呼吸法とストレッチが不安を軽減し、深い睡眠を促す

✔ 有酸素運動(例:ウォーキング、ジョギング、サイクリング)

・体温変化による自然な眠気の促進
・ストレスホルモン(コルチゾール)の低下
・継続的な実践で睡眠の質が安定

一方で、レジスタンストレーニング(筋トレ)や太極拳も一定の効果はあるものの、ヨガや有酸素運動ほどの効果はみられなかったとのことです。

 

〇運動の時間帯はいつがいい?

研究では「就寝の2~3時間前までに行うことが望ましい」とされています。特にハードな運動は交感神経を刺激しすぎて、逆に寝つきが悪くなることがあるため、夜の激しい運動は控えるのがベターです。

 

〇どれくらい続けると効果があるの?

多くの研究で、週に3回以上、8週間以上継続することで効果が出始めると報告されています。短期間で劇的な変化を期待するより、「続けること」が最大のポイントです。

 

〇今日からできる、簡単な一歩

・寝る前に深呼吸をしながら5分のストレッチ
・夕方に30分のウォーキング
・YouTubeで初心者向けヨガ動画を見ながら実践

こうした「小さな積み重ね」が、良質な眠りへの第一歩になるかもしれません。

 

〇参考文献

  • Effects of various exercise interventions in insomnia patients: a systematic review and network meta-analysis. Frontiers in Psychiatry, 2023.